日本画や浮世絵に影響を受けた日本的なモチーフを、緻密な構図、流れるような描線、艶やかな色彩で描き出すアーティスト・上床加奈。鹿児島県生まれ、2016年に作家活動を開始して以来、怪奇とポップが共存する独自の幽玄な世界を築き、圧倒的な存在感を放ってきました。今回のインタビューでは、創作のルーツや影響を受けた作品、そして今後の展望についてお話を伺いました。
上床加奈 Kana Uwatoko
1995 鹿児島県生まれ
2016 専門学校日本デザイナー学院 九州校 卒業
展覧会歴
2023
FLOWERS OF CONTEMPORARY ART/Sansiao Gallery/東京
「NEW」group exhibition/石川画廊/東京
mini○展/Sansiao Gallery/東京
第六回京都×アートプロジェクト/京と家/京都
上床加奈展EYES/tagboat Gallery /東京
DRAWING/MASATAKA CONTEMPORARY /東京
tagboat Art Fair 2024/東京都立産業貿易センター 浜松町館/東京
第八回京都×アートプロジェクト/京と家/京都
ART HAKATA by tagboat 2024/博多阪急/福岡
おしまい。展/MASATAKA CONTEMPORARY /東京
ATTENTION/RISE GALLERY/東京
tagboat Art Fair 2025/東京都立産業貿易センター 浜松町館/東京
作品をつくりはじめたのはいつ頃ですか?きっかけはありましたか?
きっかけは思い出せません。小さい頃から絵を描くことが好きで、将来は絵に関する仕事がしたいとずっと思っていました。
アーティストを志したきっかけは何でしたか?
専門学校での授業です。現代アートの授業でアートの世界に触れ、作品やその活動の面白さに気付きました。自分の世界観を一枚の絵の中に表現していくというところにとても魅力を感じ、卒業後本格的に作家活動を始めました。
作風が確立するまでの経緯を教えてください。
作風に妖怪や空想上の生き物を選んだ理由は描いていて楽しいからでした。
学生時代、公募展に出すために描いた妖怪モチーフの作品がきっかけです。
学生の頃はイラストレーターを目指していろいろ描いていましたが、妖怪や空想上の生き物を描いてるときが一番楽しいと感じました。そして、日本画や浮世絵の海外にはないマンガチックで平面的な画風や構図に魅力を感じました。妖怪を描く楽しさが今の作風につながっています。
作品はどのように制作していますか?技法について教えてください。
デジタルで下描きをし配色を考えています。
木製パネルに水彩紙を水張りしたのもに転写し、アクリル絵の具やミリペンを使い制作しています。塗り作業の後ミリペンで主線を入れて完成です。はみ出しや色ムラが無いよう丁寧に作業することを心がけています。
作品を描く際、どのようにしてインスピレーションを得て、イメージを具体化していくのか教えてください。
日本画や浮世絵、寺社の彫刻装飾などからインスピレーションを得ています。「こういう雰囲気の妖怪、作品を描きたい!」と思い立ったら納得するまでラフ下描きを描いていきます。
これまでの人生や創作活動の中で、特に影響を受けた人物や作品はありますか?その理由も教えてください。
中学生の頃、霧島アートの森で観た、鴻池朋子さんの「シラー谷の者、野の者」という作品です。人間の足が生えた狼の絵なのですが、とてもカッコよくて綺麗で神秘的で衝撃を受けました。神話の様な世界観に魅力を感じました。
制作中に大切にしている時間やルーティンはありますか?
朝8時ごろに起床し、休憩を挟みながら19時ごろまで制作しています。
前に体調を崩してしまったことがあり、出来るだけ徹夜はしないようにしています。
子どもの頃に好きだった絵本やアニメ、遊びの中で、現在の作品につながっていると思うものはありますか?
小さい頃に見たアニメ、デジモンやジブリから影響を受けていると思います。
あとは妖怪図鑑や幻獣図鑑なども好きでよく読んでいました。
個展「Red」では、どのような作品を制作されましたか?
浮世絵の様式のひとつに無惨絵といわれるものがあります。殺しの現場や死体などがテーマになっているものが多くグロテスクなのですが、描かれている血が鮮やかで模様みたいで綺麗でとても魅力的に見えました。それを自分なりに描いてみたいと思い作品を制作しました。
今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
もっと表現の幅を広げたいと思っています。ずっと制作しているとインプット不足で視野も狭くなってしまうので、意識的に時間をつくって興味のあるものを見たり体験したりしていきたいです。
6月20日(金)からギャラリーにて個展を開催いたします!
上床加奈「Red」
2025年6月20日(金) ~ 7月8日(火)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※6月26日(木)はセミナー開催のため、18:00閉場となります。
入場無料・予約不要
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F
tagboatにて、現代アーティスト・上床加奈による個展「Red」を開催いたします。